星と月と恋の話

無事、プレゼントが決まり。

ケーキも食べ終わったので、食器を下げて洗った。

放っとくと、家政婦さんが来るまで食器放置してるから、この人。

年末も近いんだし、大掃除とかしたらどうだろう、とは思うんだが。

まぁ、普段やらないことをいきなりやるものじゃない。

「いつこっちに来るんですか?奥さんとお嬢さんは」

「年末の…30日に来ると言ってた」

じゃ、あと五日後か。

「そうですか。楽しみですね」

「それと、この年末年始の間に、お前の家に行きたいと妻が言ってた」

はい?

「うちに?何か用ですか」

「娘の…来年の七五三の着物を、お前の母親に作ってもらいたいそうだ」

「あぁ、成程…」

確か、三歳のときのお参りも、うちで仕立てた着物を着てくれたんだっけ。

普段、うちは子供の着物の発注は受けない。

が、師匠のお嬢さんとなると話は別だ。

母も、僕がこの加賀宮さんにずっとお世話になっていることを知ってるから。

特別に発注を引き受けているのだ。

身内だけの特別サービス、って奴だな。

「分かりました。うちはいつでも良いので、都合の良いときに来てください」

年末年始と言えど、うちは特に予定はないからな。

親戚付き合いも希薄なので、親類を訪ねることもないし。

精々、年賀状でやり取りする程度。

母を人混みには連れていけないから、初詣にも行かないし。

福袋を買いにショッピングモールに行くこともない。

家で、いつも通りの休日のように過ごすだけ。

まぁ、お雑煮とおせちくらいは作るけど、それだけだな。

「でも、母親の体調が良いときに行った方が…」

「採寸だけなら僕でも出来るので、大丈夫です。あとは反物のカタログを見せるので、その中から決めてもらえば、あとはこちらで作りますよ」

「そうか」

僕も、それくらいの役には立てるから。

少しでも母の仕事の手伝いが出来れば良い。

世間では僕みたいな人間のことを、マザコンだと言うのかもしれない。

そういえば、星野さんにも言われたっけ。

それが何だって言うんだ。言いたい奴には勝手に言わせておけば良い。

母一人子一人で、頼れる人もなく、貧しいながらも二人で生きてきたのだ。

両親が揃った家で、家事の一つもすることなく、ぬくぬく育ってきたような人間に何が分かる…。

無意識に、そんなことを考えていると。

「…今何を考えてる?」

「へ?」

いきなり師匠にそう聞かれて、僕は思わず驚いてしまった。