星と月と恋の話

「はい、じゃあ全員グループ分けは済みましたね?」

と、クラス委員が確認した。

…しかし。

「…あの…僕は、まだです」

一人、ぽつねんと自分の席に座ったまま、おずおずと手を挙げる人物がいた。

…結月君だ。

結月君…何でまだ一人なの?

何処でも良いから、何処かのグループに入れば良いのに。

いくらでも空いてるグループはあるでしように。

「え?あぁ…。…じゃあ、何処のグループでも良いから、誰か三珠君を入れてあげてください」

クラス委員が、いかにも面倒臭そうにそう言った。

グループ分けで、こんな無駄な時間を取りたくないとばかりに。

しかし。

「…」

「…」

どのグループも、自分には関係ないと言わんばかりにそっぽを向いていた。

誰も「うちのグループにおいでよ」とは言わない。

むしろ「うちのグループにだけは入ってくれるなよ」とさえ言いたげだ。

更に、私のグループでも。

「折角の遠足なのに、三珠クンと一緒なんてつまんないわよね」

「うん。グループの空気が重くなるわ」

「いっそ、あいつ単独行動で良くね?」

海咲と真菜、そして正樹が言った。

どのグループも、結月君を入れたがらない。

むしろ邪魔者だと思っている。

正樹達が結月君を拒絶している以上。

正樹達の意見を無視して「うちにおいでよ」とは言い出せなかった。

結月君には悪いけど…。

うちじゃなくても、何処かのグループが入れてくれるでしょ、多分…。

しかし。

「誰か。何処か入れてあげてください。先に進まないじゃないですか」

クラス委員がそう言っても、誰も手を上げない。

皆素知らぬ顔。

なんか…嫌な雰囲気。

すると、クラス委員は大きな溜め息をつき。

最終手段に出た。

「グループで一人ずつ代表を出して、じゃんけんしてください。負けたグループに三珠君が入るということで」

クラス委員がそう提案すると、クラスメイト皆が抗議の声をあげた。

一番嫌な決め方だ。

「仕方ないじゃないですか。嫌なのは皆同じなんだから、じゃんけんで公平に決めましょう」

クラス委員自身も、心底うんざりしたような顔で言った。

そうでもしなきゃ…誰も、手を上げないから。

こう言われては仕方なく、結局皆嫌々ながら、じゃんけんで決めることになった。

どのグループが、結月君を押し付けられるのか。

そして、私のグループでも。

「誰が出る?」

「じゃんけんに強い人」

そんなの時の勝負なんだから分からない。

嫌な雰囲気だから、さっさと終わらせたい…。

「よし、じゃあ俺が行ってくるよ」

と、正樹は腕まくりをしながら言った。

何だか謎に頼もしい。

「絶対勝ってよ?三珠クンと動物園なんて、絶対嫌だからね」

「俺だってつまんねぇよ。大丈夫だって、勝ってくるから」

「頼んだからね」

「任せとけ」

正樹は、自信満々にそう言った。

…が。

「じゃあ行きますよ。最初はグー、じゃんけん…」

ぽんっ。







…結果。

「…それじゃ、三珠君は正樹君のグループに入るということで」

正樹という男は、肝心なとき、全然頼りにならない男だと判明した。