星と月と恋の話

じゃ、メイン料理はハンバーグに決まりね。

ここまで時間かけても、まだ半分しか決まってない。

あと二品、どうしよう。

…と、思ったけど。

「あとは汁物と、副菜一品決めれば良くない?」

「だな」

そっか。献立なんだもんね。

バランスを考えたら、あとは汁物と、野菜系の副菜をつければ完璧。

それほど難しく考える必要はない。

「汁物って、味噌汁とか?」

「どうせなら具だくさんに、豚汁にしようぜ」

正樹ったら。汁物にも、お肉を入れたいらしい。

気持ちは分かる。

「じゃあ汁物は豚汁な。副菜はどうする?」

「サラダが良いんじゃない?」

「サラダか。皆、何のサラダが良い?」

好きなサラダかー…。

「マカロニサラダとか?」

「俺、あれ好き。サラダチキン乗った奴」

あぁ、ファミレスでよく頼む奴だ。

個人的には、海藻サラダとか好き。

「じゃあ、ポテトサラダにしようよ。私、あれが一番好き」

と、海咲が言った。

あ、分かる分かる。私も好き。

ゆで卵、たっぷり入れたポテトサラダが好き。

「お、良いね。じゃあ副菜はポテトサラダにするか」

あっさりと決定。

…したかに思われたが。

「え、あー…。えぇっと…」

しどろもどろと、結月君が何か言いたげな声をあげた。

どうしたシェフ。

「結月君?」

「その…。ポテトサラダは…どうでしょう。あれって、結構作るの時間がかかるんです。行程がいくつもあって…」

え、そうなの?

…作ってみたことがないから分かんないや。

「それなら、普通の生野菜のサラダに、ドレッシングを手作りした方が…手間はかからないと思います」

成程…そういう手もあるのか。

ドレッシングを手作り、なんて発想は私にはなかったよ。

ドレッシングと言えば、いつも市販のごまドレが鉄板だもん。

しかし。

「何よ。またケチつける気?」

またしても、結月君に反対意見を出された海咲は喧嘩腰だった。

ちょっと。何でそんなに怒るの?

短気が過ぎるんじゃないの、海咲。

「そ、そんなつもりは…」

「じゃあ黙っててよ。別に良いわよ、手間がかかっても。私が作るから」

海咲、あんた。

そんな大言壮語叩いて、大丈夫なの…?

「だよなぁ。一品くらい、手のかかるメニュー入れても良いじゃん。簡単メニューばっかりじゃつまらないし」

「俺もそう思う」

「私も。ちょっとくらい冒険したって良いよね。他が手抜きなんだから」

隆盛や正樹、真菜に立て続けにそう言われて。

「…」

これには、結月君も反論出来なかった。

…どうしよう。何か言うべきだろうか?

料理上手な人の意見をちゃんと聞いておこうよ、って言うべき?

でも、私は…。

「ね、星ちゃんもそう思うでしょ?」

と、真菜に同意を求められ。

私は一瞬、真菜と、結月君の顔を両方チラチラと見て。

それから。

「う…うん、そうね」

私は、真菜に同意する方を選んだ。

「少々時間がかかっても…6人もいるんだから、協力すれば何とかなるわ、きっと」

「うんうん、だよね」

満足そうに頷く、真菜や海咲から視線を逸らし。

こっそりと、私は結月君の方を見た。

「…」

結月君は何も言わず、そして私を見てもいなかった。

ただ呆れたような…諦めたような顔をしていて。

何故だが、酷い罪悪感に駆られた。