必ず、まもると決めたから。


相手も昼休みだからすぐに電話に出た。

「はーい」

「青山です」

スピーカーに変えて、名乗った。


「あ、千咲ちゃん?」


「え?この声、新谷くん?」
と、隣りで遥が反応する。


「今どこにいるの?直接、話したいんだけど。遥と一緒にそっち行く」

「えー、」


電話の向こうで"此処に呼んでもいい?"と確認する声が聞こえて、友達と一緒にいるようだった。


「ごめーん、今はちょっと無理」

「じゃぁ聞くけど……新谷くんって佐々木愛ちゃんと付き合ってる?」

「付き合ってないよ?」


少し躊躇って質問したのに、あっさりと答えは返ってきた。


「でも、写真見たよ」


今度は遥が聞くと、新谷くんの笑い声が電話越しに聞こえた。


「あはは、それね。俺も見たよー綺麗にとれてるでしょ。確かに色々撮られちゃってるけど、付き合ってはないよー」


こちらと温度差のあるハイテンションぶりになんだか腹が立ってきた。伸ばされる語尾にイラつく。


「付き合ってもないのに、ああいうことするの?」


私の問いにまた新谷くんが笑う。


「ああいうことって?ハグのこと?それって付き合ってないと、しちゃいけないの?友情のハグだってあるじゃん?ほらほら、サッカーの試合に勝った選手同士でもよくやってるじゃん」


「……誰とでも、そういうことするの?相手が女の子でも」


遥が責める。


「遥ちゃん?…うん、求められたら誰とでも。例え、君とでも」


「……」


私も遥も返す言葉がない。


「あ、でもひとつだけ言わせてね」


サッカーのゴールが入った歓喜の声と同時に、だけどその言葉ははっきりと聞こえた。




「俺は、恋人はいらないから」



その声に笑いはなく、冗談でもなく、低い声色で真剣なものに聞こえた。


「じゃーね!」
そう言って一方的に電話が切れた後も、私と遥は何も言えなかった。