「探せばいいじゃん」

返ってきた言葉は遥らしくて笑ってしまう。


「いつか、探したいと思ってるよ。もっと立派な人間になって会いに行きたいって思ってるんだ」


だから、今じゃない。
もっともっと勉強して、自分磨きをして、彼の前に立つに相応しい人間になれたら会いたい。
会ってこの気持ちは恋なのか、憧れなのか確認したい。


「私だったらすぐに探しに行くけど。それに千咲は十分に可愛い女の子だよ。自信もちなよ。会いに行ったら相手も喜ぶよ」


嘘のない真っ直ぐな彼女の言葉に少し背中を押される。

ふんわりパーマのポニーテールに、ピンクのチークが映える白い肌。くっきりとした二重瞼に笑うと見える八重歯が彼女の可愛らしさを際立たせる。そんなクラスでもひときわ目立つ彼女に褒められることは素直に嬉しい。


「でも、やっぱり今は…会いたくないかな。ありがとね」


「…そっか、残念。行く時は私にも声かけてね」


「え?付いてくるの?」


「友達なんだから、当たり前でしょ」


確かにコミュニケーション能力が高い遥に付いてきてもらった方がいいのかもしれない。
そんな風にいつの間にか前向きになっている自分がいて、笑ってしまう。


「なにニヤついてるのよ、再会のシーンで妄想してるの?」


「は?違うよ!」


早く"いつか"がくればいい。