必ず、まもると決めたから。


遥に土曜日の予定のことを尋ねなきゃいけなかったのに、その話題を田中くんに聞かれたくなくて教室では話ができなかった。

今日は数学の授業はなく、そのことが私の心を少し穏やかにさせた。


遥に今朝のことを相談したいけれど、田中くんとの夜の出会いは秘密にしているから言えない。今すぐにでも遥にこのもやもやとした気持ちを伝えたい…。


休み時間に横目で彼を見れば、相変わらず俯き加減で焦っている様子もなければ、普段通りな感じだ。


初めて異性と手を繋いだことに心臓の鼓動がうるさい私とは正反対に、彼にとってはそう珍しくないシチュエーションなのかもしれない。


高校1年生でもう恋人がいる生徒だって多いから、不自然じゃない。


それでも誰かと田中くんが手を繋いでいる姿を想像して、嫌だと思った。


「おい、見ろよ!」

「やばっ」


男子生徒数人が窓から校庭を見下ろしている。


「永井大悟が先生に喧嘩売ったみたい!」


いち早く窓に駆け寄った遥に手招きされて、私も見下ろす。

そこには英語の平井先生に馬乗りになった大悟がいた。


50代の平井先生とは体格の差があり、もがいているものの大悟にホールドされて逃げ出せないようだ。


誰かが窓を開けると大悟の罵倒する声が響いた。


「俺をバカにするな!」