必ず、まもると決めたから。


田中くんは何も言わずに、少しも動かなかった。

繋がれた手から、私の心臓の鼓動が伝わってしまいそうで、恥ずかしくて、離したくて、でも離したくないという相反する感情に支配される。

意外にも私より体温が高く、温かい手だった。


なにか喋らなければと思った矢先、校庭から話し声が聞こえてきた。


一瞬、田中くんと目が合った気がする。


複数の足音が聞こえてゆっくりと離された手は、行き場をなくして不自然な形で宙をさまよう。


そっと私から距離をとった田中くんは無言のまま教室へと行ってしまった。

足音も立てずに颯爽と。

まるで私しか最初からそこにいなかったかのような素早さだ。


いや、本当にいた?
私の妄想?
あれ、今のなに??


心はそう叫んでいるのに、問いもせずにその背中を見送ることしかできなかった。


彼の言う"可愛い"が、私の思っているそれとは違う意味かもしれないけれど、破壊力は十分だ。



新谷くんとのことで彼が私にヤキモチを妬いてくれた?


一瞬そう思い上がりそうな自分を全力で否定して振り払い、下駄箱を後にした。