悔しい。
例えば新谷くんのファンや永井大悟に同じ言葉を言われても、軽く受け流せたはずなのに。
相手が、田中くんだから、私は笑って誤魔化せなかった。
「違う」
「違う?ああ、そうですか!今更そんなこと言われても」
「なんで、そんな風に受け取るんだよ」
「じゃぁ、どんな風に受け取ればいいのよ!」
先程、新谷くんに伸ばした手で、今度は田中くんの腕をとる。
掴まえておかないと、いつものように逃げられてしまうから。
「……違うよ」
急に変わった声色に、優しい声に、泣きたくなった。
感情が一定に保てず崩れ落ちそうだ。
「俺はさ、」
彼の腕を掴んだ手は無理矢理に解かれ、そしてーー代わりに、ぎゅっと強く握られた。
「千咲のこと、可愛いって思ってるし。いいところも沢山知ってるから」
指先を通して彼の熱が伝わる。
既に血が上った頭は沸騰しそうで、もう言葉にならなかった。


