必ず、まもると決めたから。


「ま、とにかく土曜日ね!」

「はぁ…」


了承をしていないし、遥の予定も聞いてないけれど新谷くんは行く気満々だ。

革靴の足音がして新谷くんとほぼ同時に振り返ると、田中くんが登校してきた。


「おーはよっ」

新谷くんは下駄箱に寄りかかりながら、右手を挙げて陽気に挨拶した。

左手はパンツのポケットに入っていて、背景が下駄箱だとしても絵になる。雑誌の表紙にもなれる勢いだ。


「田中くん、おはよう」


田中くんは会釈だけして、私たちの前に立った。
相変わらずの俯き加減で目線は合わない。

今日はいつもより遅めの登校だ。


「あ、新谷くん。どいてあげて」


新谷くんが寄りかかっている場所がちょうど田中くんの下駄箱だった。


「えーやだ。千咲ちゃんが引っ張ってくれたら、どくけど」


右手を差し出される。

その手を引けということだろうか。


状況の意味が分からないけれど、棒立ちの田中くんに申し訳なくて手を伸ばした。


しかし、その手は新谷くんに届かず、
私と彼の間に田中くんが割り込んできた。



「ジャマだよ」


珍しく田中くんが返事以外の言葉を発した。


「うお、永井に立ち向かえるだけあって、君、凄いね。俺、ジャマなんて人生で初めて言われたわ」


皮肉を言いつつも新谷くんは数歩後ろに下がる。

田中くん?
機嫌が悪いように見えるけど、朝は苦手なタイプなのかな。私が登校した時には机に伏して眠っていることが多いし。