手を伸ばして伸びをした新谷くんはうーんと唸った。
「女友達はたくさんいるけど、彼女はいないよ」
さらりとした返される。
そういえば遥もそう言ってたな。
「千咲ちゃんはいるの?」
「いないです」
「好きな人は?」
「……」
「あ、いるんだ」
「いないです」
激しく首を振りながら下駄箱に向かう。
私のE組とA組の下駄箱は離れているが、彼はついてきた。
「照れなくてもいいじゃん」
「照れてないです」
「じゃぁ、土曜日にその子も誘ったら?俺も男がいたら嬉しいし」
パチンと親指と人差し指を鳴らした新谷くんの言葉に、彼の顔が浮かんでしまった。
田中くんも一緒に…ううん、苦い顔をされそうだ。


