「ま、いっか。それより、全然連絡してくれないね。せっかく教えたのに」
「あ…しようと思ってたんだけど」
「嘘だぁ。ま、いっか、それで?お礼、なにか決めた?」
至近距離で覗き込まれ、顔に彼の髪が触れた。
「……悩み中かな」
「とかいって考えてないでしょ?…じゃぁさ、俺が決めていい?」
本当に田中くんと正反対のような人だ。
いつも誰かに囲まれているし、きっと大勢で明るく楽しく、そういう毎日が好きで、青春の塊のような生き方をしているのだ。
「よし、俺が決める。来週の土曜日、空いてる?」
テンポよく進む会話からも、話し慣れていることが伝わってきて社交的な性格が少し羨ましい。
思えば先生からの信頼も厚く、生徒会に入って欲しいと他薦が多いと聞いたことがある。
私が新谷くんだったら、田中くんとももっと打ち解けられて学校でもお喋りできるのかな?
「……土曜日?」
「なにするかは俺が考えておくから、友達の…遥ちゃんだっけ?の予定も聞いておいてね」
「休日に出かけるなんて、新谷くんの彼女さんに怒られたりしない?」
私だったらいい気持ちはしない。
幸い少し早めの登校時間のため、生徒は少なく注目を浴びるようなことはなかったが、彼のファンを名乗る多くの女子生徒によく思われそうになくて尻込みしてしまう。


