必ず、まもると決めたから。


窓の閉まった数学準備室は生暖かく、静かだった。


「最近?勉強のこと?」

「……永井のこと」


田中くんの家にお邪魔して以来、ゆっくり話せるのは久しぶりだった。


「うん、あれからなにもないよ。なにも言われてないし、大丈夫だよ」


「それならいい」


そう言って田中くんはドアを掴んだので、反射的に腕を叩いてしまった。


「ん?」

「あ、ありがとう。心配してくれて」


教室ではほとんど口を利いてくれない田中くんと話せる貴重な機会で、ホームルームが始まると分かっていても喋らずにはいられない。


「田中くんは大丈夫?仕返しとかされてない?」


「ああ。拍子抜けするくらい、なんもない」


「良かった…」


再び、田中くんの手がドアを掴む。


もっと話したいが、言葉に詰まってしまった。
でも私たちがいないことを先生は気付くだろうし、

ーー千咲のことは、俺が護るから


そのフレーズが頭をよぎって、


尻込みした隙に、呆気なく開いたドアから田中くんは出て行ってしまった。