大悟の登場に一時静まった教室は、愛ちゃんによっていつも以上に賑やかになる。
隣りの席であっても私から話しかける話題が見つからず、あまり話したことがない。まぁ彼女の周りに常に人だかりができて話す隙がないってこともあるんだけど。
「ねぇ、千咲。あの件、どうなったのよ」
「あの件?」
「新谷くんにお礼してもらうってやつ!」
「ああ、忘れてた」
「忘れてたぁ!?」
目を見開いて遥は私の髪を引っ張る。
「いつまでも悩んでるなら、やっぱり私が決めるよ!千咲はそれを新谷くんに伝えて!」
「いやいや、お礼をしてもらうのは私だよ?」
「はぁ?私、新谷くんのファンだって前から言っててるよね…友達を見捨てる気?」
「見捨てるって…大袈裟な」
新谷くんの周りも常に人がいて、気安く話しかけれない。だから連絡先を教えてくれたのかな…。
「とにかく早く決めてよ!」
「分かったよ」
先程より強く髪を掴まれ、渋々頷いた。


