必ず、まもると決めたから。


5月に入ったその日、教室に罵声が響いた。


「あ?なんだよ、その目は」

「……すみません」


昼休み、E組の教室に我が物顔で現れた大悟は、男子生徒の携帯ゲーム機を奪った。最近よくCMで見かける最新のものだ。


「貸してくれって言ってるだけだよ」

「……昨日、買ってもらったばかりなんだけど…」

「あ?なんだって?」

「い、いえ…」


遥と目を合わせて、互いに口を結ぶ。

もうあんな思いはしたくない。


この間の件を担任の先生に報告したけれど、大悟は相変わらず横柄な態度を変えなかった。


こんなにも迷惑をかけているのに、退学どころか停学にすらならない彼を不思議御三家と遥は称していたけれど、その謎は未だ分からない。


それでも他者に大声を上げることは彼の日常であり、私たちとの出来事などそのひとつでしかなかったようだ。

再び怒鳴られることもなければ、弱い私たちは眼中にもない。


そこだけは良かったと思う。
これ以上、田中くんに迷惑をかけずに済むし、彼が傷つかないで済むのだから。