田中くんと表に出ると、海翔くんは玄関から大きく手を振って見送ってくれた。
「千咲ちゃん、また来てね」
「ありがとう。また遊ぼうね」
さっさと前を歩く田中くんを追いかけながら、海翔くんに手を振り返した。
「海翔くん、すごくいい子だね…」
「そうだな」
「お兄さんのことは聞いてたけど、弟さんも可愛らしくて…兄弟がいるって羨ましいな」
外に出ると田中くんはスウェットのフードを目深に被った。やっぱり外では嫌なんだ。
「後、俺の下にもう1人弟と、妹がいるんだ」
「え?5人兄弟?」
「ああ。たまにやかましくて、キレそうになるよ」
「うわぁ、贅沢な発言!」
「…またいつでも来いよ」
「ありがとう」
吹いた風が田中くんのフードを揺らす。
スカートを押さえながら、心の中で思う。
かっこいいって、思った。
前髪で覆い隠されたその素顔の下は、かっこよかった。


