いつもは重めの前髪が両目を隠して、俯き加減で目線すら合わないのに。
どうしてそんな真っ直ぐな目で見てくるの?
「俺は、俺だろ」
「そうだけど…」
左耳だけ髪をかけて、妙に色っぽい。
「なんか、落ち着かなくて」
「うだうだ言ってないで、さっさと座れ」
こちらの苦情は受け入れられず渋々、田中くんの隣に座った。
鼻を擦りすぎたせいで少し赤くなっている。
「鼻は?痛む?」
「まぁ少し。明日には治る」
そっと赤くなった部分に触れると、びくっと彼の身体が跳ねた。
「あ、ごめん。痛かった」
「…なに急に、」
「赤くなってて」
「だったら触るなよ、痛いだろ」
「あ、ごーー」
ごめん、と言う前に、
「えー!!千咲ちゃんって彼女なの??」
大きな声がリビングに響いた。


