必ず、まもると決めたから。


20時15分。
マンションの前にいるとメールが届き、私たちは合流した。

今夜も田中くんは制服だ。
それでも学校に居る時のように俯いたりはせず、背筋を伸ばして真っ直ぐに私を見ていた。


「迎えに来てくれてありがとう」


返答はなかったから、聞きそびれていたことを問う。


「なんのバイトしてるの?」

「大したものじゃない」

「……」


会話終了?

弾まない会話に、自身のトーク力のなさに落ち込みそうになるがそもそも此処に田中くんがいることが全てだ。

来てくれたんだ。


「バイトで疲れてるのに、付き合わせてごめんね」


「腹減ってるから」


「…そっか。ご馳走するね。なに食べる?」


「カレーライス」


「いいね、カレーライス。私もそうしようかな…でも、ハンバーグもいいな」


「だな」


居心地の良い空間だ。

新谷くんのようにぐいぐい来てくれて話題を提供してくれるタイプの方が私は一緒にいて楽なはずなのに、夜道を歩く田中くんとの空気が好きなんだ。