必ず、まもると決めたから。


昨日はスエットと変わらない格好で外に出てしまったが、今日は気合を入れて鏡の前に立つ。

襟元に花柄の刺繍が入った桃色のシャツと、ゆったりめのパンツを履いた。この間買ったファッション雑誌に載っていたクラスメートの愛ちゃんの格好は女の子らしさ全開で、短いスカートから覗く足は細すぎるし、とてもじゃないけど真似できない。

愛ちゃんが登校した日は男子の視線は釘付けだ。新谷くんと同じくらい人気者で、いつも人だかりができている。隣りの席だけど私は挨拶しか言葉を交わしたことがない。


一目惚れして買ったワンピースはそっとクローゼットの奥にしまい込んで、代わりにほんの少し濃いめにアイメイクをした。


お母さんには友達とファミレスに行くから、そのまま待ってるねと連絡を入れておいた。いきなりお母さんが入ってきたらびっくりするから、駅で待っててねと念押しも忘れずに。



時間まで英語の復習をしようと教科書を開き、プリントが挟まれていることに気付いた。新谷くんが挟みっぱなしにしたようだ。


それは先週の英語の小テストで、花丸が書かれていた。私は半分もとれなかったけど、噂通り勉強もできるんだ…。


間違えて挟んでしまったのかと裏返せば、綺麗な筆跡で彼の電話番号が書かれていた。


新谷 京介
Tel 080-1234-×××
いつでも連絡してね


これは私宛?

いつでも連絡してって言われても、話そうと思えば学校で話せるんだけど…。