必ず、まもると決めたから。


その夜、私は思い切って田中くんにメールをした。


『今日もお母さんの迎えに行くんだけど、10時過ぎになるんだって。良かったらそれまでの時間、ファミレスに行かない?教科書のお礼がしたいです』


新谷くんからお礼をしてもらうのであれば、田中くんにも同じようにしないと筋が通らないよね。

おしゃれなカフェよりファミレスの方が誘いやすかった。値段を気にせず田中くんも頼めると思うし。


乗り気な返事はもらえないと思っていたけれど、すぐに『了解』と届いた。


筆談と同じように短文なのが田中くんらしくて笑ってしまった。


『それじゃぁ田中くんのバイトが終わった頃に、東口のファミレスで。先に行ってるね』


ちょうど駅前にファミレスがあるので、母を待ちながら田中くんにお礼ができる。たぶんそういう口実がなければ田中くんは来てくれないような気がしたから、遥の言葉を借りるならこれは作戦だ。


好きなアイドルの着信音と共に彼からの返事を開けば、

『バイト終わったらおまえの家に迎えに行く』そう書かれていた。


昨夜も危ないからと送ってくれたけれど、大通りを通れば人通りも多いし塾帰りの学生だっている。

たまたま昨夜は裏通りを行ってしまっただけで…。


『ありがとう、待ってます』


でも心配して言ってくれているのなら、今夜は甘えてしまおうかな。やっぱりファミレスに行かないって言われる方が一番きついしね。