必ず、まもると決めたから。


「ありがとう」


授業が終わり、教科書を返しながらお礼を言えば田中くんは無反応だった。離れた机と共に、距離は遠ざかる。


そのギャップに、胸がチクリと痛んだ。

別に傷つくことなんてない。
田中くんは学校が嫌いなだけだ。


「ねぇ、新谷くんのところに行こうよ。教科書を返してもらわなきゃ!」


バシバシと興奮気味に遥に肩を叩かれる。
新谷ファンの熱量は凄い。


「そうだね…遥も行く気?」


「もちろん」


遥に背中を押されて歩き出そうとすれば、


「ごめーん!」


女子生徒のざわざわする声と共に、新谷くんが姿を見せた。目立つ登場だ。


「千咲ちゃん、本当にごめんね!」


突然の名前呼びに首を傾げている間に、新谷くんは私の前まで駆け寄ってきた。