必ず、まもると決めたから。


再び田中くんかペンを動かした。

まだ筆談を続けてくれるの?


なにを書いてくれるのかわくわくしながらその文面を追う。


『次、当てられるぞ』


え、嘘っ…。

我に返ればちょうど後ろの席の遥が英文を読み上げているところだった。


先生は席順に生徒を指名すると分かっていたのに、筆談に夢中になり背後まで迫っていたことに気付いてなかった。


遥が読み上げる英文に耳を傾ける。最後まで綺麗な発音だった。


「よし。次、青山。今の文章から察するに、問5の答えは?」


武藤先生の淡々とした声が脳裏に響く。

教科書に記載された問5は3択で、まだ答えやすかったが、頭が真っ白になる。


「えっと…」


消去法でいけば…

どうしよう、混乱してきた。


膝の上でギュッと、手を握る。


焦っていたのに隣りで田中くんがペンを持つのが分かった。



「ウです」


「正解だ、ウのーー」


武藤先生の視線は私から逸れたことに、すっと肩が軽くなった。