必ず、まもると決めたから。


嫌な汗をかいたと同時に教室の前扉が開いた。

もしかしたら…と、淡い期待を抱いたが、入ってきたのは英語担当の平井先生だった。

遥と顔見合わせて落胆する。


「ほら、席に着け。昼休み明けだからといってだらけるな」


もちろん授業は教科書に沿って進められるし、平井先生の場合は生徒にその内容を読み上げさせることが多い。教科書なしには乗り切れない…。


新谷くん…。
忘れていた私の落ち度ではあるけど、でもさ、普通に借りた方が返しにくるべきでは?


「一緒に見ると言いたいところだけど、素直に先生に言った方がいいね……」


遥にぽんぽんと優しく肩を叩かれる。

平井先生は50代前半の生徒指導担当で、厳格な性格だ。やんちゃな生徒でも平井先生の授業では静かにしていることが多い。

はぁ、最悪…。

「先生、すみません、教科書を忘れてしまいました」


クラスの視線が私に集まる。


ああ…目立つことは嫌いなのにね。新谷くん、これは大きな貸しだよ。


「たるんでるぞ、青山」

「すみません」

「田中、見せてやれ」

「……」


まぁ、そうなりますよね。
私の左隣は田中くん、右隣の佐々木さんは雑誌の読者モデルをしているため学校を休みがちで、今日も登校していない。