必ず、まもると決めたから。


「あ、チサキちゃんってこう書くんだ」


教科書に記したフルネームを見て新谷くんは褒めてくれた。


「漢字も可愛いね。名前の由来ってなに?」


「秘密です」


「え、秘密にするようなこと?」


「うん」



この名に込められた思いは、初恋の彼にしか話していない。それを別の誰かに伝えてしまえば、2人だけの思い出が消えてしまうような気がして、遥に聞かれた時も誤魔化してしまった。


「そっか」


しつこく問うことはせず、新谷くんは頷いた。


そして視線は隣りの席で右腕を枕にして横を向く田中くんに移った。


新谷くんは教科書でとんとんとその肩を叩くが、微動だにしない。


「寝てるのか、つまんないの」


まぁ起きてたとしても無視するのが彼ですけど。
同じクラスでもないし、田中くんに対する認識はないのかな。


「あ、新谷!これ見てくれよ」


「え、なに?」


廊下から男子3人組が新谷くんを手招きしている。

本当の人気者は同性からも支持され、新谷くんの周りには女子だけでなく男子生徒も集まり、教師にも一目置かれている。圧倒的な存在感だよね。


「また返しに来るね」


そう手を振って立ち去る新谷くんに、手を振り返して見送る。遥が聞いたらきっと、羨ましがるだろうな。