もう何度も街中で芸能事務所からスカウトされたという伝説をもつが、そりゃぁそうだ。将来のスターを見つけるプロが、新谷 京介が放つ輝きを見逃すはずがない。
「ね?タメ口でいいから。話すのは初めてだよね、名前はなんて言うの?」
「青山 千咲です」
「千咲ちゃんか。可愛い名前だね」
お世辞ではなく、まるで自然と口から出たような言い方で、褒められて悪い気はしない。むしろ素敵な人に褒められているのだから、素直に嬉しい。
天然の人たらしなのだと察した。
「どうぞ」
英語の教科書をひらひら左右に動かすと、今度は受け取ってくれた。
「ありがと。お礼にさ、勉強教えてあげるよ」
「いやいや、ただ貸すだけですし」
「でも、あんなに大きなため息ついてたくらい分からないんでしょ」
「……」
またその話に戻ってしまった。
聞かれていたなんて恥ずかしい…。


