ーー翌朝、
既に登校していた田中くんに「おはよう」って言ってみたけれど、軽く会釈されて終わった。
うん、想像通りだ…。
残念なことに今日は数学の授業もなく当然、数学係の出番はない。
昨日のお礼を言いたかったのだけどな…。
せめてアイコンタクトで伝えようと田中くんの方を向くと、彼は窓側に顔背けていて、"放っといて"そう言われているような気がした。
まだ登校している生徒の方が少なく、いつも遅刻スレスレの遥は後20分は登校しないだろう。
英語の復習をしようとバッグから教科書を取り出す。
朝から勉強している生徒はうちの学校では珍しくないし、早く登校したクラスメートは皆、何かしらの教科書を広げていた。
「はぁ」
やばい、全然分からない。
確かこのページは一昨日やったばかりの範囲だけど…。
「朝からため息なんて、幸運が逃げていってしまうよ」
頭上から聞こえた耳馴染みのいい声に全身がびっくと震えた。


