必ず、まもると決めたから。


第一印象による決めつけや偏見が、私たちの視野を狭めていた。せっかく言葉というものがあるのに、対話することから逃げてたいたーー己が、傷つかないために。


「俺は不思議御三家って響き好きだなぁ。それにしても俺たち3人、学校で随分と浮いてたんだね。でも今日、互いに思ってることを知る機会にもなったし、俺は今後も定期的にみんなで集まろうと思ってるよ。一緒に居れば居るほど、相手のことを理解できると思うし。その口実として、天体研究部に勧誘するよ」


「天体研究部ってなにするの?」


遥が問うと新谷くんは空を指さした。


「レンズを通して天体観測をしてもいいし、ぼうっと広い空を見上げて感傷に浸ってもいいし、考え事をしてもいい。活動内容はなんでもいいんだ。この5人の居場所になれば、それで」


「そっか、良い部活だね」

「うん」

遥が笑い、つられて私も頷く。


私たちも大悟も入部すると口には出さなかったけれど、きっとみんなこの屋上に集まって来るに違いない。そんな気がした。


「京介くんごめんね。愛ちゃんのこともあって女の子なら誰でもいい遊び人だと本気でそう信じてたから…」


遥が申し訳なさそうに言うと、新谷くんは彼女の取り皿に卵焼きを乗せて笑った。


「自暴自棄になってて、ごめんね。俺がそういう風に振る舞ってたし、女の子なら誰かれ構わず一緒に居れるって本当に思ってたんだよね。でもなんか、今は…無理そう。桜誠の3年越しの恋が叶って、幸せそうで、やっぱり本気の恋っていいなって思ったから」


新谷くんの言葉に遥は深く頷き、田中くんは咳払いをした。


「千咲ちゃんには馴れ馴れしくしてごめんね。本当はわざと英語の教科書を借りて、君のことを知ろうと思った。桜誠と少しでも仲良くなって欲しかったから」


「京介くんは田中くんから千咲のことを聞いてたの?」


あの英語の教科書は敢えて私に借りに来たの?もしかして、教科書を返さなかったのも…。


「美山高校の受験の合格発表って、校庭に張り出されるじゃん?俺と桜誠は受かってることを確認して、同時に、既に先生と揉めている大悟の姿もあった。そんな人が密集する中で、桜誠はずっと校庭のある一点だけを見てたよ。母親であろう人と抱き合って喜ぶ女の子の方を。問いただしたら3年前の出会いを教えてくれた。そして俺に言うんだ」


そこで言葉を切って新谷くんは私を見た。


「大悟から被害を受けないように、おまえとあの子を護りたい。だから今後、美山高校では一切、俺に話しかけるなって、そう言ったんだ」