必ず、まもると決めたから。


花火大会の翌日、美山高校では異変が重なった。
新谷くんと愛ちゃんの一件よりも、多くの生徒が興味を示したと言っても過言ではないだろう。


「悪かったな」
そう謝罪を口にした彼は松葉杖姿で、これまで迷惑をかけた生徒に頭を下げて回っていた。


1限終了後、私たち1年E組の教室に現れた大悟は色付きの眼鏡を外して、ゲームや漫画、お菓子などをカツアゲした生徒ひとりひとりに詫びを入れていた。


いつもの高圧的な態度から一変した彼にクラス中が驚き、なにか裏がないか心配していたが、新谷くんが彼の後ろに付いて回り、大悟は本当はいい奴なんだと支援している姿がなんだか面白かった。


「昨日は悪かったな」


最後に私の元に来た大悟はレモンウォーターを差し出した。横で遥が私の手を掴む。昨夜、電話で遥に花火大会の一部始終を話したけれどそりゃぁ警戒するよね。


「ありがとう。これで2本目。この間も、ありがとう」


相変わらず眉毛はなくて強面だけど、いつもよりずっと表情は柔らかい。


「怪我はどう?」

「医者が大袈裟にしただけ。これくらいどうってことねぇよ」

「良かった。無理しないでね」


大悟は田中くんの席を見た。
実は、彼はまだ登校していない。

「おい、遅刻か?」


苛立つ大悟の肩を叩いて、新谷くんは言った。


「さぁね。あ、そうだ。千咲ちゃん、お昼休みに屋上に集合ね?遥ちゃんも」


「屋上?」


屋上で新谷くんとお昼を食べていると田中くんは話していたけど、私たちも一緒にいいのだろうか。

それを尋ねる前に遥が「行きます!」そう即答した。


「次、行くぞ」


威圧感たっぷりに言い残すと大悟は器用に松葉杖を操り足早に教室を出て行った。


「あいつ口調はきついけど、たぶんいい奴だ。千咲ちゃんが俺たちと大悟を繋いでくれたんだ。ありがと」


「私はなにも…」


白い歯を見せて少年のような笑顔を見せた新谷くんは嬉しそうだった。