必ず、まもると決めたから。


彼女の家は繁華街近くのマンションだった。
父と母親の3人暮らしで兄弟はいないと教えてくれた。


「もう二度と、夜に出歩くなよ」

「はい」


マンションのエントランスまで送った。

明るい蛍光灯の下で彼女と向き合う。


くっきり二重瞼と、大きな目。
とても小柄な女の子だった。


反対に俺は中学生に入ってから随分と身長が伸び、170センチに迫る勢いだ。幼い頃から兄に空手や柔道を習っていたため、大人相手でもそれなりに戦えるようになっていた。争いは苦手だから嫌々、取り組んでいた稽古だったけど、今夜、役に立ったんだから…兄には感謝しないとな。


「それじゃぁ、おやすみ」


それ以上の別れ文句が思いつかず、淡々と発すると、彼女は寂しそうに笑った。

いやいや、俺がそう見えているだけだろ。
なに考えてんだか…。


「私、今夜のことを絶対に忘れないからね。桜誠くん、またね!」


嬉しそうに彼女が浮かべた笑みに、もやもやとした気持ちが浄化されたように思えた。



「またな」


この通信機器が発達した時代に口約束なんてなんの保証もないのに、また会える気がした。


もう一度、千咲に会える気がした。