必ず、まもると決めたから。


何度も大悟は立ち上がり、自身の眼鏡を思い切り踏みつけた。


「静岡で負けたあの日から、ずっと、テメェのことが頭から離れなかった。静岡中を探し回ってもいないわけだよな…再会しても、そんなナリじゃテメェだって気付くはずがない。俺のことが怖くて、そんな格好してるのかよ!」


苛立ちを隠せず頭をかいた大悟に対して田中くんは落ち着いていた。


「こうやって喧嘩になるのが面倒だったからだ」


2人は静岡でも喧嘩をしたのだろうか。


静岡でのことは知らないけれど、今、この状況のことは分かる。2人はしなくてもいい喧嘩をしているだけだ。


2人を止めなきゃ、そう思ったところで再び大悟は田中くんに殴りかかり、それを交わされ、反撃を食らう。

体格差などないかのような素早い動きで田中くんは大悟の膝にもう一度蹴りを入れた。


「強めに入れておいた。もう立つのもやっとだろ。青山には近付かないと、言え」

「くそっ……」


顔を歪めて跪いた大悟に対して田中くんは初めて声を上げた。


「言え!!」


言わなきゃ。大悟は悪くないって言わなきゃ。

2人の元に駆け寄ろうとした時、


「お巡りさん!こっちです!こっちで喧嘩が!!!」


そう声を張り上げる男性の声が響いた。


近くに人の姿はなかったが、新谷くんの耳にも届いたようでさっと私の腕を引いた。



「桜誠!警察がくる!早く行こう」


田中くんもすぐに反応して大悟から離れ、私たちの方へ駆け寄ってきた。


大悟はその場に跪いたまま顔を上げようとはしない。


「走れるか?無理なら、背負うけど」


田中くんはそう聞いてくれたけど、首を振った。


「行こう」


新谷くんが先頭を走り出したけれど、私はまだ動かない大悟を見ていた。