必ず、まもると決めたから。


顔を上げれば、眼鏡の下から覗き込まれる。

「なに、おまえら付き合ってるの?」

そう突然現れた、永井 大悟は問うてきた。



美山高校から1時間程のこの場所で、学校の生徒に会うことは珍しいことではないが、何故よりによって大悟なのだろう。


この場の雰囲気が一気にピリピリしたものになる。


「あ?付き合ってるのか?どうなんだ」

「付き合ってない」


同じ問いに、今度は田中くんが即答した。

本当のことなのに、胸がちくりと痛む。



「あ、そ。じゃぁ、こいつ借りるわ」


突然、大悟は私の腕をとり、力を込めて自身の方に引き寄せた。

田中くんの優しい誘導とは全く違う強引な引っ張りに、よろける。


「おい、止めろ」


ふらついた私を支えてくれた田中くんが今度は大悟の腕を掴む。


「青山を放せ」


「…おまえ、俺に逆らうのはこれで2回目だぞ。どうせ勝てないくせに」


大悟に払い除けられた田中くんの手は宙を舞う。


「放せって言ってるんだ」


少し前までの私なら大悟のことを恐れて震えていただろうけれど、今日は大悟の目を見ることができた。

大悟が田中くんに手を出す前に、2人を遠ざけないと。


「私に用があるなら、一緒に行くよ。田中くん、少し此処で待ってて」


「おまえ、なに言ってるんだ」


田中くんの口調が強いものになる。


「ごちゃごちゃ言ってないで行くぞ」


大悟は再び腕を引き、人混みの中に私を連れ入る。

その場に残された田中くんが可哀想だけれど、こんなに楽しい日を台無しにしないためにも一番良い選択だと思った。