空いているベンチを探して6個入りのたこ焼きを2人でシェアしながら頬張る。
猫舌のせいで熱がる私を見て田中くんは笑っていた。
「はぁ…好きだな」
「旨いな」
「……」
田中くんのことが、好きだな。
一緒にいられる時間を重ねる程にこの気持ちが膨れ上がるから、困ったものだ。
たった一度しか会っていない彼を追いかけて美山高校に入学してから、もっともっと彼を好きになっていく。
「田中くんは食べ物でなにが1番好きなの?」
この気持ちを卒業まで、学校では爆発させちゃいけないよね。
「なんだろう。嫌いなものはないけど」
「お昼はなに食べてるの?」
いつも昼休みは教室から去る彼の手には何もないし、購買で何か買っているのだと推測している。
「お昼は京介が買ってきてくれたものを食う」
「え?新谷くんが?」
「ひとつ買うものふたつ買うのも一緒だからって、あいつが買ってくるし、あいつが作った弁当の日もあるな」
「え?新谷くんって料理もできるの?」
「ああ」
カッコいいに留まらず女子力もあるって完敗なんですけど…。お母さんの代わりにご飯を作ったりしていたのかな。
「やっぱりお昼は新谷くんと食べてたんだね」
「屋上でな」
「そっか、屋上で」
屋上は立ち入り禁止になっているから誰も行かないが、2人はどうやって入っているのだろう。その疑問を口にしようとした時、目の前に大きな影ができた。


