必ず、まもると決めたから。


バッグに教科書を詰めた田中くんは無言で立ち上がった。


「田中くん、また明日ね」

「ああ」


小さな返事が返ってくる。


「……愛想ないねー、千咲が他の男にとられたらどうするのかね!」


廊下に出た田中くんに聞こえるような声で遥が文句を言うものだから、慌てて後ろを振り返る。


「変なこと言わないで!」

「はいはい、私たちも帰るよ」

「遥!」


クラスの子がひそひそと話をするのが分かる。愛ちゃんからの視線も感じる。


「千咲も田中くんのこと、他の女にとられないようにしなよ」


私だけに聞こえる声で遥はそう言った。


そんなこと言われたって、もう告白はしたし、これ以上、私にできることなんてない気がする。今更、好かれようと猫を被っても手遅れだろうし。


「行くよ!」


みんなの視線から逃れるように遥の袖を引っ張り、教室を後にした。