必ず、まもると決めたから。


私の声に田中くんも足を止める。


「………青山、」


そして呟くように彼の口から出た私の名前に驚く。

初めて彼に名前を呼ばれたよ。


「うん、青山です。偶然だね」


「ああ」


「何してるの?」


「そっちこそ、何してるの」


「え?私?」


きっと"別に"なんて短い返事で返されるのだろうなって思っていたから、予想外の返しに間抜けな声を出した。


「夜遅いから」


「あ、えっと、お母さんのお迎えに。ただちょっと早く出過ぎちゃったから、暇つぶしてるところだよ」


「……」


今目の前に居るのは本当に田中くん?


いつも素っ気なくて一言しか話さない田中 桜誠くん?


空は暗いが都会の街灯は明るくて見間違うはずがないと分かっているけれど、思わず凝視してしまった。