寝不足の頭にレモンは沁みた。
その酸っぱさに目も冴える。
御守りを拾った、そのお礼に買ってくれたのだろう。
大悟のイメージは、
威圧感たっぷりで、怖くて、喧嘩っ早くて、生徒の物を強奪するような嫌な奴だ。
でもそれだけじゃないってことを、レモン炭酸水が示している。嫌な奴だけど、たぶんそれだけじゃない。
なんだろう。
新谷くんにしても、永井 大悟にしても、
人の一面だけを見ていても、気付かないことがある。
田中くんも含めて遥は"不思議御三家"と称していたけれど、彼らのことをひとつ知る度に、ますます不思議が募っていく。もっと、知りたいと思ってしまう。
果たして今朝のことを遥に言って信じてもらえるだろうか。だって、あの大悟だよ?
「やばっ、」
残りのレモン炭酸水をバッグに入れて、慌てて階段を駆け下りる。
分からない問題!田中くんに!聞かなくちゃ!!
結局、その日はテストで頭が爆発しそうであり、遥に大悟のことを話す時間がなかった。


