必ず、まもると決めたから。


どうしよう。逃げればいいかな。
いや、追い掛けられたら…。


「おまえ、来い」

「え?」

「ついて来い」


靴を下駄箱に放り込んで、大悟は顎でしゃくって付いてくるよう指示してきた。


逃げたら面倒なことになる。
本能がそう感じて付いて行った。


大柄な彼に駆け足で付いて行く。
朝だから廊下には誰もおらず、大声を出しても気付いてもらえるか不安だ。田中くんにも迷惑をかけたくないし…。


「奢る」


数分もの間、あれこれ考えてみたけれど、
拍子抜けするくらいその答えは…優しかった。


「え?」

「御守りを拾ってくれたから。お礼」


ここは2階、ちょうど真下は1年A組あたりの休憩スペースで大悟は皮財布を取り出した。


ベンチやテーブルが設置された休憩スペースは自由に休んでいい場所で、昼休みはご飯を食べる生徒や談笑する生徒で溢れている。


そしてその中央に設置された飲料水の自動販売機前に私たちは立っている。全品100円だーーって、今はそんなことはどうでもいい。


「早くしろ、暇じゃないんだ」


いつの間にかお金を投入した大悟は腕を組んで私を見下ろす。

まさか本当に、奢ってくれるの?


「早く!」


急かされて普段飲まないレモン炭酸水のボタンを押す。

ジュースが落ちてきた音がして、屈んで手を伸ばしたと同時に大悟は歩き出した。バッグには赤い御守りがつけられている。


「あ、ありがとう!」


その後ろ姿に叫ぶ。
あっさり解放され、それどころか手に残った炭酸水…。

状況が把握できないまま、ひとり残された私はベンチに座って深呼吸をした。