「なーんか、千咲ちゃんに話したらすっきりしたよ。ありがとう」
「いえ、知りもせずに偉そうにごめんなさい」
「ううん、救われた」
新谷くんは立ち上がり大きな伸びをした。
「さ、新しい恋でも見つけに、ナンパしに行こっ。それじゃ、ごゆっくり〜」
返事を待たずにトートバッグを引っ掴むと、新谷くんは早々にファミレスを出て行った。
「ゴミくらい片付けていけよ…」
これまで一言も喋らなかった田中くんは置いたままのトレーを見て悪態をついた。
窓の外で、新谷くんは複数の女の子に声をかけられていたけれど、その身振りからして速攻で断っている。
その様子を見て田中くんは微笑んでいた。
2人はお揃いのピアスをして物理的な絆が見えたけれど、その心も繋がっているのだろう。
「食べたら、勉強続けるぞ」
「うん」
溶けかかったソフトクリームを食べながら、頭を整理する。
たぶん新谷くんの発した言葉は全て本当だと思う。
根拠はないけれど、2人の関係性を見れば分かる。
新谷くんは、私の恋を応援してくれたのだ。
その言葉に甘えてしまっていいのかな?
私は田中くんのことをまだ好きでいてもいい?
その後、私が一方的に教わる勉強会を再開したけれど、田中くんは彼のことをなにも語らなかった。


