必ず、まもると決めたから。


特定の女の子を作らないこと。

家族を思う4つ上のお姉さん。

新谷くんの好きな人。


「垂れるぞ」


横から田中くんはそう声をかけてくれたので、我に返りソフトクリームを舐める。



「姉貴さー、俺に言ったんだ。京介はそう思ってなくても、私は京介のことを本当の弟だと思ってるから。だから京介に何かあったら、全力で助けるよ。それが姉の務めだから、ってーーこれほど、俺の心をえぐる言葉はないと思うんだよねー」



自身のソフトクリームがテーブルの上に垂れても、新谷くんは気にせずに話を続ける。



「俺が姉への気持ちを伝えてしまえば、これまで家族になろうって頑張ってきた姉貴の苦労が水の泡じゃん?だから一生、この気持ちは隠すことにしたの。そうやって、自分だけ頑張ればいいのにさー、しんどそうにしてたんだろうね。悩める中1の俺に桜誠が言ってくれたんだよ」



これは、私が聞いてもいい話なのだろうか。
田中くんは何も言わずに、紙ナプキンで机を拭いた。


「おまえが恋を諦めることになるなら、俺も一生、恋人を作らないし、結婚もしないって。そう約束してくれたんだ。そうだよね、桜誠?」


「そうだったか?」


どうでも良さそうな返事だ。食べることを止めた新谷くんの手からソフトクリームを取り上げて食べ始めた。

私は田中くんのように平然とはしていられない。


自分の好きな人は、自分に"本当の弟"になって欲しいと願っている。

それはどれ程、痛いことなのだろう。
好き、とすら打ち明けられずに。