必ず、まもると決めたから。


田中くんも新谷くんと同じホットドッグと、コーヒーを注文した。そして3人分のお会計を済ませてくれた。


席に戻ると、新谷くんは椅子に寄りかかり目を瞑っている。


「なに、どうした」

「姉貴がさー、旅行に行ってくるって連絡きた」

「ふぅん」


不貞腐れたようにそう言った新谷くんは目を開けて、笑う。


「男がいないか、心配だよー弟としては」


「そうか…ほら、冷めない内に食え」


「では、いただきまっす!…あ、」


気を取り直してトレーからホットドッグに手を伸ばした新谷くんは包みを解く手を止めて、バッグの中から黒いゴムを取り出した。


そして田中くんの顎を掴んで自分の方を向かせると、手際よく前髪を結いた。



田中くんは嫌がる素振りを見せず、大人しくしていると彼の目元を覆っていた前髪がなくなり、額が見える。新谷くんの手が、横髪を耳にかけてあげていた。

…遥が見たら、萌えるとかいいそう。

私が入る隙もなく仲良しな2人を前に、本当に親友なのだと納得する。羨ましいな…。



「千咲ちゃんが、桜誠をガン見してるよ」


見るなと言う方が無理だ。

前髪を上げると印象が変わり、明るい雰囲気になる。


え?


「あの、ピアス」


新谷くんの右耳にあるスペード型のピアスと同じものが、田中くんの左耳にあった。

お揃いだったんだ…。