必ず、まもると決めたから。


放課後。
軽快な音楽が流れる店内で、目についたCDを手に取る。

確かウィークリーチャート1位の人気バンドだ。メンバー3人が海をバッグに立っているジャケットで、
そこに映るボーカルは重めの前髪で目元を隠す。それだけで雰囲気が出て、バンドマン特有のかっこよさが演出されている。


「同じだ…」

そこから連想されるクラスメートの姿に慌てて首を振る。

なぜここで、田中くんが出てくる???


CDを元に戻し、頭に浮かんだ田中くんの姿を追い払うように足早に店を出た。


月が映える夜9時。
街中に立つ柱時計を確認し、もう少し時間を潰す必要があることに溜息をつく。

家で夕飯は済ませたから、カフェに入る選択肢はない。かといって行きたいお店もないし、お気に入りの雑貨屋は閉店の時間だ。


人が多い賑やかな大通りを避けるように、裏道に入る。


今日も授業についていけなかったから、大人しく家で勉強すればいいものの、今夜もたまらずに外に出てきてしまった。