必ず、まもると決めたから。


午後の授業が始まり、必死にノートをとる合間に田中くんを見る。

自分がいない時に隠れて話題にされることはあまり気分がいいものではないだろう。私だったら、なにを話していたのか気になってしまう。


悪口ではなかったにしろ、不思議御三家と言われて嬉しい人はいないだろう。ミステリアスなベールに隠された彼の素顔に興味があるだけだと、言葉を連ねても、その興味こそが時には相手を傷つける。


そわそわした気持ちになって、いつも以上に授業についていけない。理科はそこまで苦手な科目ではないんだけど…。



「あ…」


不意に腕で払って落下したシャープペンを拾った田中くんと目が合う。

床から顔を上げた拍子に前髪がふんわりと巻い、目力のある綺麗な瞳が見えた。


もっと見ていたかったけれど、すぐに反対側に顔を逸らされてしまった。


先程にも増してそわそわ?ざわざわする。


あの黒い瞳でじっと見つめられたら、吸い込まれてしまう気がした。