必ず、まもると決めたから。


田中くんは誰にでも優しい人なのだろう。

でも私は、多くの女の子は、自分だけに優しくして欲しいものなのだ。


「泣くんだ、泣いて自分が可哀想ってことをアピール?くだらないね」


そしてここまで新谷くんが荒い口調になるとは思わなかった。その表情は見ていないが少し、怖い。その言葉の先に私が立っていたら、泣きはしないけれど今すぐその場から逃げ出したい衝動に駆られるだろう。


愛ちゃんは声を上げて泣き続ける。


新谷くんは左手で数学準備室の電気を点けた。


「君さ、人を雇って俺との写真を撮ったよね?俺が知らないとでも思った?」


「……」


ぴたりと泣き止み、愛ちゃんが顔を上げた。涙で溢れた目で新谷くんを見る。


「自分が撮らせた写真で、いじめにあってたから放っておいたんだけど?まぁ事情を聞くのも面倒くさいし、君と関わりたくないなーって思ったから追求しないでおいたよ?どうせあの写真を拡散したのも君でしょ?」


「そ、そんなことしてない!」


待って、自作自演ってこと?



「まぁそれを分かってても、商売道具の君の顔に傷でもついたら大変だから桜誠は助けたんだと思うけどさ…ここまで、桜誠に付き纏うとねー目障りだよね」


愛ちゃんは目いっぱいに涙を溜めて、唇を震わせているが、それが演技がどうかは私には見抜けなかった。


「まぁ、桜誠と君のこと、俺は部外者だからこれ以上言えないけどねー」


最後はへらへらと笑い、いつもの軽い物言いだった。


そのまま私に力をかけて、数学準備室から離れるように無言の指示が来た。

私もこれ以上、2人の傍に居たくなくて彼に従い、身体を翻す。


田中くんなんて、大嫌いだ。