必ず、まもると決めたから。


至るところで注目の的になる田中くんを見て、自業自得だよ、と悪態をつく。

あなたが愛ちゃんを助けたから、新谷くんと親友だと明かす結果になって、それでーーそんなどうしようもない文句が出てくる。


愛ちゃんを助けないで欲しかった、
そう言ったら嫌われるだろうか。
軽蔑されるだろうか。


「よし、数学係。頼むなー」


そう言って1限目の数学の授業が終わると同時に、全身が重くなる。


唯一、2人きりになれる時間なのに、口を開けば余計なことを言ってしまいそうで、上手く伝えられずにいた。


「あ、青山さん!私がやるよ!」


田中くんより先に教卓に行き、ノートを手に取った私の背後から愛ちゃんがそう声を掛けてきた。


「え?、数学係は私だから…」

「いいの、いいの!たまにはクラスの役に立ちたくて」

「いや、でも」


これは私の仕事だから、
そうもう一度言おうとしたところで


「ね、いいよね。田中くん」


教卓まで歩いてきた田中くんに愛ちゃんが聞いた。


「……」


田中くんは答えず、2つに並んだノートの山の一方を持ち上げる。いつものように量の多い山を取ってくれた。


「無言は肯定だよね!」

「ま…」


勝手にそう解釈した愛ちゃんが残ったノートを手に取る。そのことに特に気にした様子もなく田中くんは教室を出て行った。


「青山さんは休んでて!」


私の静止を振り切り、田中くんを追って廊下に飛び出した愛ちゃんを見て唖然とする。


悪いのは愛ちゃんだ。でも否定せず淡々としていた田中くんに腹が立った。

田中くんにとって数学係は、私でなくてもいいんだ。


そんな現実を思い知らされて、怒りと哀しみが同時に襲ってきた。