必ず、まもると決めたから。


特定の女の子をつくってしまったら、学校中の女の子が落ち込むだろうなぁ。


「3人目は、田中 桜誠」


確かに、不思議だ。


「誰かとお喋りしてる田中くんを見たことがないし、純粋にどんな人か気にな…」


遥の言葉が不自然なかたちで途切れ、私の後ろを見ている。

まさか、と思って振り返ると田中くんが立っていた。前髪でその表情は見えないが、良い気持ちはしていないだろう。


「ちょうど、今さ、田中くんの話をしてたんだけど。田中くんって、好きなものとかある?」


気まずい雰囲気を笑顔で流した遥の問いに、田中くんは少し間を開けた後、

「…特にない」
そう素っ気ない言葉が返ってきた。


「なにも?なんかあるで…」


再び途切れた遥の言葉。
田中くんは最後まで聞く気がないようで自席に戻り、机に顔を伏せた。


「田中くん、冷たいなぁ」

「遥、」

遥と顔を見合わせると、昼休みを終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。