必ず、まもると決めたから。


田中くんは影ではなく
私にとって彼は、闇夜を照らす月だった。


「た、田中ってうちのクラスの?」


「うん。その時、少しだけ話をしたの。私が街を離れること、高1になったらまた戻ってくること」


広場のベンチに座って話をした。

いつ不良に見つかるか分からないのに、彼のおかげで一切の不安が取り消されていた。


「そしたら田中くん、兄と同じ美山高校を受験して絶対に受かるから、こっちに戻って来たら会いにくれば?って言ってくれたの」


だから必死に勉強して、私の実力では合格圏外と言われていた美山高校を受験した。彼も受かっていると信じて。


「…まぁ、田中くんは私のことなんて覚えてなかったけどね」


2年以上も前のたった一夜の出来事だ。

私にとっては記憶に残る夜であっても、彼にとっては少しだけ騒がしい夜だった、それだけのことだろう。



「…ちょ、頭がついていかないよ」


最初に出された水を一気に飲み干す遥を見て、想像通りの反応に笑ってしまった。