今回のことで物事には多面性があることを痛感した。一方だけを凝視してしまえば、新谷くんと愛ちゃんは邪な関係のように見えるが、その裏にある2人の思いを共有することでわだかまりは消えた。
「新谷くんと田中くんが親友とは驚きだよねーまさに太陽と影って感じだよ。愛ちゃんより2人の方が演技に向いてるんじゃない?」
「本当にビックリしたよ」
あの日、下駄箱で鉢合わせした時、2人は親友だなんて素振りをひとつも見せずにいた。
もっと前に、私が新谷くんに英語の教科書を貸した時、彼は田中くんの肩を叩いていたけれど、なんの疑問も感じなかった。新谷くんはフレンドリーな人だから、その行為に意味はないと思っていたから。
あー、すっかり騙されてたな。
悔しいくらいに。
遥の言う通り、名俳優じゃん。
「それで?私に話したいことあるんでしょ」
余計な探りを入れずない遥の率直な性格が好きだ。
コーヒーを一口飲み、頷く。
「まずね、私の初恋の人の話を聞いて欲しいの」
あの満月の夜、私の恋が始まった。


