ホームルームが終わると田中くんの席の周りをクラスメートが囲んだ。そのせいで私の席から田中くんが見えない。
「さっきの本当?」
あゆみちゃんが聞くと、田中くんは顔を上げて答えた。
「そうだけど?」
「……嘘でしょ?」
そっか、田中くんが言っていた親友とは、新谷くんのことだったんだ。
そんな素振りは全く見せなかったけれど。
「あの時、止めてくれたのは…新谷くんのため?」
震える声で愛ちゃんは席に座ったまま問う。
「それ以外に、理由ある?」
冷たい答えに、愛ちゃんの瞳が潤う。
ーーじゃぁ、あの時、大悟の前で助けてくれたのは?
私もそう聞きたかった。
私は何も知らないのだ。
田中くんのことも、
初恋の彼のことも、
ーーーー知らないのだ。


