必ず、まもると決めたから。


ホームルーム開始の5分前に予鈴が鳴ると同時に、教室前方の扉が開いた。

先生が来るには早すぎるから、誰かが寝坊したと予想して顔を上げずにいると、教室がざわついた。


「みんなー、おはよう!」


朝から爽やかさ全開で登場した新谷くんが教壇に立った。

乱れている箇所と言えば、緩められた制服のネクタイくらいだろう。


「えーと、みんなに言っておきたいことがあります!」


「新谷くん、なにー?」


あゆみちゃんが真っ先に反応した。

新谷くんは白い歯を見せて笑うと、愛ちゃんを見た。


「佐々木 愛ちゃんのこと?E組のみんながさ、嫌がらせしてるって聞いてはいたんだけどねーなかなかさ、タイミングがなくて。だから、今、伝えるね」


愛ちゃんは立ち上がり、新谷くんの登場に目を丸くしていた。


「あの日、愛ちゃんとのデートのきっかけはね。彼女が初めて映画に出演するんだけど、恋人がいる役なんだって。手を繋いだり、抱き合ったり、そういうシーンがあるとかで。でもね今まで仕事一筋でやってした愛ちゃんにはそういう経験はなくて、やっぱり初めては俺がいいって、思ったみたい。だから一日だけ恋人ごっこしてください、って言われたの」


ここで映画出演の話と繋がるんだ。


「だから喜んで付き合ったけどね、でもそれってさ、愛ちゃんでなくても誰とでも同じことだよ。俺はみんなに付き合うよ?」


笑みを浮かべて新谷くんはクラスを見渡した。


「相手がゆかちゃんでも、のぞちゃんでも、あゆみちゃんでも。同じことをしたよ」


名前を呼ばれた新谷ファンクラブの3人が力強く頷いていた。