ホームルームは始まっていたが、担任の宮本先生はなにも言わなかった。
愛ちゃんは不思議そうに私を見たけれど、相変わらず田中くんは俯いていた。
勉強会の約束したのかな?
どうして私も一緒にいい?って言えなかったのだろう。そもそも田中くんから誘ってくれた時に頷けば良かったのに。
「どこ行ってたの?」
ホームルームが終わり、真っ先に遥が聞いて来た。
「トイレ」
「お腹痛いの?大丈夫?」
「ん、大丈夫」
「これから生き物係で、水槽の掃除しなきゃいけなくて一緒に帰れないけど本当に大丈夫?」
「うん、ありがと」
話している間に田中くんは帰ってしまった。その後を愛ちゃんが追う。
「辛かったら連絡してね。今週はお母さんの帰り遅いんでしょ」
「大丈夫だって。でも勉強分からなかったら電話するね」
「私は千咲の家庭教師じゃありません!」
「えー、ケチ。じゃ、また明日ね」
「気をつけてね〜」
遥に余計な心配をかけたくなくて、新谷くんとのことは言えなかった。


