必ず、まもると決めたから。


憂鬱な気分になるのは雨のせいだけじゃない。


あー、イライラする!


誰もいない廊下で叫び出しそうになる。


彼女のように可愛く勉強を教えて欲しいと言えるようなキャラクターだったら楽だったのかな。



「千咲ちゃん」


階段の踊り場で、よりによって新谷くんと遭遇してしまった。


湿気など関係ないようで、ふわふわなパーマをかけた金髪はよくまとまっている。


「元気?」


なんで今日はひとりなのよ!
いつもみんなに囲まれているのに。

爽やかな笑顔にムカついた。



「今、新谷くんを殴りたい気分なんですけど」


事の発端は、おまえだ!


「え?俺?この美貌を傷つけるなんて罪なことをしないでよ」


その言葉とは正反対に彼は私に近付いてきた。


「……私にかまわないで」


「本当にご機嫌斜めだね。どうしたの?」


心配するような優しい声色は、心地よく耳に届く。


目尻を下げて彼は私の顔を見た。


「…ごめんなさい。ただの八つ当たり」


「そっか。殴られるのは勘弁だけど、八つ当たりならいくらでもしてよ。話も聞くし」


そっと肩を叩かれる。

それは慰めによるものだったから、不快には感じなかった。