必ず、まもると決めたから。


ほんの3分程度の出来事だったが、インパクトが強くて座っていただけなのに肩が凝った。

1年C組の永井大悟は1年のクラスだけでなく3年のクラスまで乗り込んでいるという噂だ。入学したばかりの私からしたら3年生は遠い存在に思えるのに、その度胸を少し分けて欲しい。彼くらい大胆に振る舞えたら、少しは楽なのかな。



「不思議御三家だね」


お弁当箱をしまい、半分に割った板チョコをかじりながら遥は指を3本立てる。


「なにそれ?」


聞いたことないな。


「私が勝手に名付けたんだけどね。その1、永井大悟。さすがにやりすぎでしょ。校内だけでなく他の学校の生徒とも喧嘩三昧って聞くし、補導もされてる。それでもさ、退学にならないじゃん?不思議じゃん?」


「まぁ、確かに普通は退学だよね。いくらうちが校則緩いからって、限度ってものがあるよね」


うちの学校ーー美山高校は自由な校風が魅力で、髪色に指定がなく、アクセサリー類も許可されている。その代わりに重視されるのが学力だ。進学校を名乗っているからこそ、成績が悪い者は留年や退学を容赦なく言い渡される。


「永井の親が教育委員会の偉い人っていう噂はあるけど、本当かどうか分からないよね」


「そっか、だから不思議御三家ね。2人目は?」


遥の発想はいつも面白く、長い間お喋りしていても少しも相手を飽きさせないから凄いと思う。